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SPECIAL CROSSTALK
覆面ぶっちゃけトーク!
今だから言える
エンジニア失敗談

システムエンジニアの仕事は責任重大。ときには冷や汗をかくからこそ、やりがいのある仕事とも言えます。本クロストークでは、これまでに数々の失敗を経験してきた歴戦のエンジニアたちに「今だから言える失敗談」についてぶっちゃけトークをしていただきました!

システムエンジニアの仕事は責任重大。ときには冷や汗をかくからこそ、やりがいのある仕事とも言えます。本クロストークでは、これまでに数々の失敗を経験してきた歴戦のエンジニアたちに「今だから言える失敗談」についてぶっちゃけトークをしていただきました!

グローバルシステム事業部所属。勤続30年の経験豊富なベテランエンジニア。現在は大手自動車メーカーで使われる業務オペレーション自動化システム(OA)の開発を担う。過去に上司だった鈴木社長に叱られた経験も豊富。
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グローバルシステム事業部所属。入社22年目のエンジニア。現在は販売店スタッフの業務サポートを行うシステムを手掛ける。リモートワークで家庭崩壊の危機を招く失敗が…?
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エンベデッドシステム事業部所属。入社12年目のエンジニア。ADAS(先進運転支援システム)に関わるシステム開発に携わる。現在自席の周りを全て女性に囲まれており、口を滑らせて衝突しないよう気をつけている。
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エンベデッドシステム事業部所属。KSEには中途で入社15年目のエンジニア。ハイブリッドや電気自動車のモーター制御ソフトの開発に携わる。時代の流れに振り回されるTHEたたきあげ。

背筋が凍る!?


サーバーにまつわる失敗談

N.K みなさん今日はよろしくお願いします。しかしこの顔ぶれを見ると…経験豊富にやらかしてきたメンバーが集まっているという感じですね(笑)
M.A N.KさんとT.Mさんはかつての上司なので、失敗談を聞くのがとても楽しみです(笑)
Y.M いろいろ経験してきましたが、果たして本当に話してしまって良いのか…。とりあえず、これまでほとんど誰にも言ってない失敗談からいきましょうか?
T.M じゃ、まずは私から。失敗談というより、忘れられないエピソードです。富士山裾野にクライアントのマシン設備があり、早春の3月とはいえ例年に無い寒さのなか、サーバーのセッティングに伺ったのですが、建物自体が未完成ということが、現地に着いてから分かって、何と、屋根が有るだけの野ざらしテントで作業する事になったのです。通常ならばコンピューターの設置場所というのは、完璧な空調設備と塵ひとつ無いクリーンで快適な環境と相場が決まっているのですが、この時ばかりは、風雪が吹きすさぶ様な極寒のなかで、かじかむ指を必死に温めながら作業を進めたワケです。当然ながら予想外の事態で防寒装備も持ち合わせず、「これで凍死でもしたら、私の家族の保障はしてくれるよね!」と多少大袈裟にブツブツ言ってたと思います。
Y.M それは文字通り災難ですね。僕ら人間と違ってコンピューター機器は寒い環境を喜ぶので、確かにセッティング自体は出来ちゃうんですね。
N.K マシンのセッティングと言えば、私が担当した作業でも、どうしても上手くいかない状況がありまして、コンピューター機器の構成や接続ケーブルやコンピューター内部の定義情報に至るまで、隅から隅まで徹底的にチェックしても、どこにも間違いが見付けられない…。「もはやこれまでか」と諦めかけた時に、偶然に犯人が判明しました。ネズミでした。マシンルームの隣が食堂で、そこの住人?のネズミが外のケーブルを噛んでしまったんですね。その歯形がクッキリ残っていました。トラブル時の緊急の調査の時こそ、視野と思考を広げて調査しないとダメなんだと、あらためて教訓にしました。
M.A なるほど、幾多の失敗の数だけ学んで大きく成長されたんですね(笑)

エンジニア版マーフィーの法則?


お客さんの目の前でミスは起こる

M.A 先程の様な、文字通り背筋が凍る程の話では無いのですが、客先での失敗は本当に背中に冷や汗ものです。クルマの運転制御CGシミュレーションを、客先のマネージャーの方に格好良く見せるチャンスがあり、その時は前方のクルマに衝突する直前に自動停止するはずだったのですが、何と、そのまま直進して、しかも透明な物体となって向う側に突き抜けて行って、挙句の果てに空中に浮遊しました。一瞬、その場の全員の目が点になりましたが、「これはツカミだよね?」と言わんばかりのマネージャーの方の半笑いの引きつり顔が脳裏に焼き付いてます。
Y.M それは確かに笑えない…(苦笑)
M.A 事前の検証は、これでもかと言うほどやってたんですが、直前に良かれと思ってほんのちょっと設定条件を変えた所に油断があって、そこに魔物が潜んでいました。
Y.M クルマが飛んで行ってオシマイになったんですね…きつい。
M.A さいわいシステム開発に理解のあるマネージャーの方で、苦笑いで許してもらいましたが、設定値ひとつで、何でも起きちゃうのがコンピューターのシミュレーションの世界です。
N.K 「SEあるある」の集大成で『マーフィーの法則』というのがあって、確率的には極めて低いのに、頼むから絶対に起きて欲しく無いタイミングに限って、何故だか、それが起きちゃう不思議な法則を言います。開所式のセレモニーでクス玉を割る肝心な時に、くす玉が割れずそのまま勢いよく落下する様な話は、IT
業界に多い気がします。
T.M でも、その時に咄嗟にクス玉をダイレクトキャッチして会場から拍手された等の、武勇伝に変わって来ることも多いですよね。結局、後々で自慢話になるという事は、笑えぬハプニング経験でも、度胸付けという側面では、SEの「肥やし」ということでしょうか。
M.A いやいや、やはり心臓には悪いですから…私も、入退出のカードを作業部屋に置いたままトイレに行って、戻っても再入室出来ず、他のメンバーが出て来るのを、かなりの長時間待った経験などありますが、そのレベルの軽い失敗にとどめておきたいですね。

まだまだ慣れない!


リモートワークにまつわる失敗談

T.M 最近のネタだと、リモートワークの失敗談が多いですね。私もつい最近ですが、妻から「このままだと別れるしか無い!」とまで言われる状況を作ってしまいました。
Y.M それは笑い事じゃ済まされないですよ!(笑)
T.M ウチは親が同居に子供3人プラス妻の合計7人暮らしですが、部屋数が限られるので、妻と私は常に同じ部屋にいます。私は、いつも妻と一緒の環境は楽しいと思っていたのですが、夜に調子が出て来る私と、朝が早い妻では生活のリズムが違い、仕事の邪魔しない様に四六時中気を遣うし、特にWeb会議中は部屋から追い出されることが我慢ならんと…結局、家の一角に妻専用エリアを作る事で許して貰いました。
N.K それは奥さんの主張に納得します(笑)
Y.M 僕はリモートスタイルでも仕事が得意なタイプで、仕事の内容面でも恵まれてますが、社内外の人とのコミュニケーションが優先されるシーンでは、プラス2手間程の面倒さを感じます。既に人間関係が出来ている者同士なら、阿吽の呼吸でカバー出来ますが、これから人脈を広げたい若手のエンジニアにとっては、リモ一トワークは両刃の剣だと思います。リモートワークならではのサポートも大事だと感じてます。
N.K 「在宅なら遊べるかも?」と考える不謹慎な人たちは、この4人ぐらいかもしれませんが、若手の仕事の中身をタイムリーにチェックして、早め早めにフォロー出来る仕組みを作る事は、年長者である我々の役割なんでしょうね。若手エンジニアに、スキルアップの機会損失があってはならないとの意味で。
M.A なるほど。私はリモートワーク中に居眠りして、オンライン会議を欠席してしまった失敗があって、居眠り以外でのウッカリも含めアラームを設定したりして自己管理していたつもりでしたが、自分の事だけ考えてちゃ駄目だったと反省します。
T.M 蛇足ですが、Web会議の発言中に愛犬が部屋に飛び込んで会議中断とか、会議中に熱弁したは良いが、結局はミュートの様な話は結構多いです。在宅も在社もヤルべき仕事の基本は同じと言いますが、やはりリモートワークならではの視点とか配慮とか改善の工夫とかが、プラスで要ると思います。妻への思い遣りとか。
N.K ちゃんと反省が効いてますね(笑)

失敗が許されない世の中で、


エンジニアはどう成長する?

Y.M 我々のシステム開発の仕事は、設計して製作するプロセスと、製作したものを検査するプロセスが「対」になっていますが、どちらの場合も、入社から数年を経て、一通りの仕事が自力でこなせる様になり、そろそろ自信が出て来た頃が、最初の危ない時期と考えます。私は主に後者を担当していますが、この時期に油断からバグを見逃した事があり、パニック状態で先輩に報告したところ先輩はお見通しで、既に手を打ってくれていました。いわゆる釈迦の掌の上で慢心していた訳で、私の天狗の鼻がへし折られた歴史的瞬間でした。
M.A クルマの制御分野は、危険探知のシステムや自動運転はじめ求められる品質が、どんどん高くなってます。世界標準で規定された品質チェックも要求される流れの中で、「問題が見つかれば直す」は許されず、「問題が無い品質」が前提に変わっている事をヒシヒシ感じます。
T.M 社会の意識の高まりも受けて、特に安全と安心に関して厳しくなっていることは間違い無いですね。SEとして気が抜けないという事ですが、それだけ重要なポジションにいると捉えれば、ちょっと誇らしくあります。
N.K ビジネス系の分野も、その品質重視の流れは同じですよ。クルマの業界は、グローバルな生産と販売が加速しており、世界スタンダードでの法令順守など、知らなかったでは済まされない知見が必要となって来ていて、一歩間違えば世界的ニュースとなったり、即取引停止となるリスクすらあって、相当に高いコンプラ意識が要求されてます。
M.A そうなると「失敗出来ない環境下でのエンジニアとしての成長」って厳しいと思いませんか?我々の時代は、失敗の繰り返しの中で、試行錯誤的に成長して来ましたから。
N.K 確かに難しいです。確かに昔は「知らない所にこそ、敢えて飛び込んで失敗に学べ」とか、「先輩の技を盗んで自分のスキルに変えろ」とか、今から考えると無責任?な考え方が主流でしたが、昨今では考え方も変わり、「誰でも習得出来る機会」を、「会社が平等に提供する」という組織的な取り組み方向に変わって来ています。今は、その移行フェーズです。
Y.M やや自画自賛的な言い方ですが、そうした組織的な発想が主流になってきたこと自体が、KSEが成長している証だと感じてます。失敗せずに成長出来る事は、失敗しないと成長出来ない事よりも「百倍以上良い」ことは間違い無いです。大事な点は成長することで、失敗の武勇伝を自慢することじゃ無い訳ですから。
N.K 最後は品質管理という多少デリケートなテーマで、皆さんの立場もあって、やや「大人の発言」の印象もありますが、締めとしては、イイ感じでまとまりましたね(笑)。これも皆さんが「それぞれの失敗から学びとった成長の証」ということにしましょう。